【お気楽シンクロの向こう側】その1:楽曲感情シンクロ
「お気楽シンクロ」はニッチで長い動画なのに、ゆっくり伸びながら7000再生もいただいていて、需要があったんだなぁ、と嬉しく思ってます。
これを作った後、自分が何をやってるかを客観的に見やすくなりました。
ロジカルにシンクロを積み上げることがもたらすものがあったり、
本当にロジックだけかと言えばそうでもなかったり、
いろいろ見えてきたものがあります。
思いつくままに列挙すると
- 小さくなるダンスと解放するダンス、前に出るダンスと後ろに引くダンス。筋肉の動きと空間の動きに対するダンスシンクロ。
- カットの切り替えによるシンクロとカメラのスピード感
- 舞台演出、とくにライティングのシンクロ
- そして、これらの複合的な効果による、「音」に対する感情的なシンクロ
といった感じ。
これらの項目について、お気楽シンクロは何の上に成り立っていて、基本を守ることで何が起こるのか、という部分を何回かに分けて書いてみたいと思います。
その1.音楽で喚起される「感情」にダンスを当てる話
私はダンスシンクロの作業中は、意味のある歌詞は邪魔だと感じています。
口パクが合わないという意味ではなく、音楽には音楽、ダンスにはダンスだけで喚起される感情があります。
代表的な例で言えば「待ち受けプリンス」。
歌詞自体は恋愛とか失恋なんですけど、歌詞を聞かずに音楽とダンスだけなら、「スタイリッシュで、挑発的で、コミカルで、テンション上がる」曲なんですよね。
もちろんここぞという所では表情も恋愛に寄せてきますが、曲全体ではそういう印象を受けます。
この記事を書こうと思ったきっかけが、最新作の「鳥の詩」。
最初は簡単にダンス当たるだろと思ったんですけど、18曲当ててみた結果、私の感覚では、ほとんどのデレステのダンスは当たりませんでした。
速度が122で当てにくいというのもありますが、速度や雰囲気であたりそうな
[138 LastKiss] [131 夏恋] [105 BrightBlue] [145 エチュード] [082 In fact]
あたりが当たらない。
表情やモーションに「恋心」「悩み」「悲嘆」「希望」「可愛さ」そういう表現が出過ぎてるんですよね。邪魔。
もちろん楓さんに合うと思ったから鳥の詩をカバーさせてるわけですから、楓さんイメージの [080こいかぜ] や [064花葉] は当てやすいはずなんですけど、これもなんかちょっと違う。
そして。
19曲目「Sunshine See May」がかすって「あれ?」となる。
20曲目「祈りの花」。背景がちょっと暗かったり和風すぎるんだけど、ダンスそのものは悪くない。
21曲目「あらかねの器」がBPM差があるけどカッチリ嵌まって、「なるほどなぁ」と己の不明を恥じます。
鳥の詩は「祈り」の歌なのね、ということです。
美少女ゲームだけど、本質部分では恋愛とか可愛さとか関係がない。生きるということに対する希望でさえない、絶望の先にある祈り、がテーマ。
そういう視点で歌詞を聞けばもちろんそうなんですが、ここで大事なのは、私が歌詞や曲の意味を意識せずに曲とダンスを当てているのに、着地点が自然と祈りの曲になった、ということですね。
私は音楽の種類も理論も全く知りませんが、鳥の詩の音楽は、どこかに「和」が入っていて、そして「空」「清浄」「祈り」、そうした要素でできている。
そしてもう一つ感じたのは、「個人の感情」を越えて、普遍の祈りとして成立している。
個人の気持ちで歌う曲ではなく、巫女として、万人を背負って歌う歌なのだ、ということです。
それが根強い人気、神曲としての評価の根底にあるんじゃないかな、と感じました。
もうおひとり、鳥の詩のMADを作ってるんですけど、そちらで使われてるバベルやSecretDayBreakも、そういう視点で見ると合致して、確かにいい「絵」が当たってくるので、なるほどな、という感じです。
話を戻しますと、
楽曲の意味を理解せず、
曲とダンスのシンクロが「気持ちいい」ことだけを指針に、
片っ端からダンスを当てて、
辿り着いたダンスの楽曲が、元の楽曲の本質と合致している。
これがまあつまり、俺の考えるシンクロ、ということになります。
こういうダンスを当てたい、とか、こういう雰囲気のMADを作りたいと思ってダンスを当てない。こういうモーションが合うよなとか、このモーション速度調整すればあうんじゃないか、とか考えない。
ひたすら自分が気持ちよく感じるまで、ダンスは音楽の展開単位で組み立てられてるという「ルール」を破らないように、大量のダンスを当てる。
21曲を「いける」「いけない」の判断をするのに約3時間。
1曲あたり10分弱で「そのダンスを当てた場合の気持ちよさの最高到達度」を判断できるレベルで当てる、というのがお気楽シンクロメソッドの真骨頂です。
かっこいいこと言ってるように書いてますけど、要するに
- ダンス覚えられない/見ちゃいない。
- 合わせてみないとダンスが合うかどうか想像できない
- 速度をいじってカッコイイダンスを作れない
- 作業量で才能の無さをごまかすしかない
そんな情けない俺が、人並みに戦うためのメソッド、ということですね!
とりあえず今回はここまで。
感想、ツイートなどいただけますと、次回以降の筆の励みになります(ダイマ
続き:【お気楽シンクロの向こう側】その2:身体感覚シンクロ - 青い月の高原